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立教たかたコミュニティ大学第2弾「宮沢賢治で社会学しよう!」を開催しました(2017/12/16)

2018/01/05

 1216日(土)、立教たかたコミュニティ大学第2弾「宮沢賢治で社会学しよう!」をモンティ・ホールにて開催しました。36名の方の参加がありました。

 講師の筒井久美子さん(立教大学大学院博士課程満期退学)は、「社会学」とは「あたりまえ」とは異なるものの見方を可能にする学問ですという説明をしたのち、参加者に「あたりまえ」の外に出る社会学的「実験」を体験してもらいました。続いて、宮沢賢治の2つの作品からクイズが出され、参加者は「あたりまえ」とは異なる見方を体験しました。1つ目の「蠕虫舞手(アンネリダタンツェーリン)」には、αやγなどの文字の形自体をボウフラに見立てるという見方が、2つ目の「岩手山」には山を「地」、空を「図」として見るという私たちの見方とは「地」と「図」を反転させた見方が提示されており、いずれも私たちの「あたりまえ」とは異なる見方が示されているという説明がありました。

 後半は社会学者の見田宗介による賢治研究が紹介されました。見田さんによれば、賢治は、他者を殺さなければ生きられないというこの世界の構造に対して、「焼身」や「自己犠牲」という在り方を提示していきます。さらに、「わたくし」=「自我」を絶対化する立場から離れることで「殺し合い」は「生かし合い」として見ることが出来ること、そして「自我」を取り囲む存在の「地」の部分は実は輝きに満ちていることを感受できれば「自我」の解体は「自我」からの解放だと考えたと言います。見田さんの議論が紹介されたのち、講師から参加者に対して、見田さんの議論を肯定するか否定するかが問いかけられ、両方の立場の方から意見が出されました。

 社会学的「実験」やクイズを交えたり、参加者にコメントを求められたり、参加者が賢治作品を読み上げたりと、講義は聴衆参加型で進んで行きました。終了後は講師に質問したり、感想を述べたりする方もいらっしゃいました。講義は普段考えないような話で少し難しいところもありましたが、参加者それぞれの方が自分自身に引きつけて考えを進めていたのが印象的でした。

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